2月24日 (木)  音を楽しもう

筑波大フォルクローレのサークルの(世代的に)遠い後輩から聞いたことです。少し前に僕も出演したあるライブの打ち上げで、当日お客さんとして来てくれた彼のギターと僕のチャランゴで1曲セッションする機会がありました。僕は意識しなかったことですが、若い彼は演奏中に僕がチラッと笑顔を向けた時に「これぞ音楽!」というような感銘を受けてくれたそうで、それからは他の場でもリラックスして演奏できるようになったと言います。彼いわく、それまでは数々の批判を受けたことがあって演奏が萎縮気味になっていたとか(←もちろん「建設的」批判はどんどん吸収すべきですが)。以前、敬愛する東邦酒場のマスターが「後輩を育てるのも先輩だが、悲しいかな、時にはその才能の芽を摘んでしまう危険に陥るのも先輩」というようなことをおっしゃっていて自分も肝に銘じようと思っていただけに、今回の彼の言葉はとても嬉しかったです。すべての芸術を深めようとするには自ずから厳格さが求められるものですが、殊に「生」演奏という形で人前で実演するのが常である音楽の場合、やはり「音を楽しむ(愉しむ)」姿勢が音楽家自身の奥底から出るものでないと、けっして聴く人には伝わらないと思います。アルゼンチンの師ハイメ・トーレスがかつて、演奏中の笑顔とは「演奏家が心からその曲が好きで幸せな気分になるから自然に出るものだ」と諭してくれたこともしみじみ思い出しました。これからも「音」を楽しんで行きたいですね!