3月4日 (金)  音楽で出来ること

今夜は、日本ではとても有名な(←当たり前だが)某皇族ご夫妻の前で演奏する機会がありました。それも大規模なイベントの類でなく、全員でたった6人きりの小さな夕食会で。「皇族」とは言っても「ひと」レベルで会ってみるとなんでもない普通の人たちで、しかも日本のことのみならず世界中の文化や音楽にもとても興味をもっておられることが分かります。僕は天皇制というシステムがもたらす弊害やそれを政治利用する役人らには常に反感をいだいていますが、皇族の人たちにたいする無意味な人格批判にもまた疑問を感じます。まあそういう理屈は抜きにしても、今夜は会場がボリビア大使公邸で、しかも大使の「ボリビアの素晴らしい音楽を紹介したい」という熱意に共鳴したので思想信条を超えて演奏やおしゃべりが親しい雰囲気の中で出来ました。クエカ(ボリビアの舞踊リズム)の演奏中も、自然に楽しく手拍子を打ってくれたのには驚きました。

演奏者として活動を長く続けるほど、ありとあらゆる場で、またさまざまな世界の人たちの前で演奏するチャンスが広がってくるものですが、どんな場で、またどのような条件で演奏するにせよ、まずはチャランゴやボリビア文化の魅力を真摯な姿勢で伝えようとする気持ちを忘れてはいけないと思います。そしてまた、暴力を中心とした病理現象だらけの今の世の中で音楽の果たす役割は大きく、それだけに「音楽人」としての使命の重さなんかも感じざるを得ません。音楽で出来ること、それは無限だけに、これからも自分自身を見失うことなく活動の場を広げて行こうと思っています。