4月16日 (土)  2つの国のあいだで

先日、ボリビア在住30年以上になるという日本人の方と食事する機会がありました。彼女はだいぶ前にボリビア人のご主人に先立たれて以来、お子さんもいないのでひとりで仕事をしながら暮らしています。でもぱっとお会いした感じではそういう境遇を想像させない位とても明るく、はつらつとしているのです。ボリビアは中南米でも有数の日系人移住国(現在1万人前後)なので、こちらで暮らしていると大使館、JICAや旅行者など短・中期滞在者のほかにも、たくさんの日系の方々と知り合えます。みんな日本やボリビアにたいする感じ方、考え方が違うので話をするととても興味深いのですが、ボリビアやボリビア人にたいして不満を持っている人も数多く見受けられます。でも今日会った人は今もボリビアが大好きだそう。結婚当時は100%ボリビア人になりきろうと決心したらしいのですが、現在はやはり日本人としての意識の方が勝っているそうです。今までにもボリビア(人)社会やボリビアの狭い日本人社会で裏切られて悲しい思いをすることもあったと言いますが、今となっては周囲を気にせずにマイペースで生きる術を見につけたと、しみじみ語ってくれました。そしていつも思っているのは「ボリビア人と日本人の国民性の両方を理解できるので、2つのいいところを自分のものにして行きたい」ということ。在住8年に満たない僕自身はどちらかと言えばボリビア人に助けられてばかりで、というか圧倒的に良い思いばかりしてきたので日系の方々の特に過去の苦労などは本などを通じて知るのみなのですが、この彼女の言葉にはとても心を動かされました。2つの異なる文化のあいだで育まれる日系人独特のアイデンティティというものがこうして生まれるんだなあ、と実感した次第です。