5月28日 (土)  ボリビア情勢の悪化

ボリビアは今週始めから久々に大規模なストライキ、道路封鎖などの社会混乱に陥っています。今住んでいるラパスでも、サンフランシスコ教会から大統領府、上院などがあるムリーリョ広場までの市内中心地域ではデモ隊と警察軍の衝突が日中ずっと続いていて、催涙ガス弾(政府軍側)やダイナマイトの威嚇(鉱山労働者側)のけたたましい音も日に日に激しさを増すばかりです。26日(木)にはとうとう長距離バスターミナルや国際空港までマヒしてしまい、実質的にボリビア各都市は孤立した状態に近づいています。

今回の社会混乱はこの17日に議会を通過した「炭化燃料(石油・天然ガス)法」に対する修正要求やサンタクルス県の自治権をめぐる問題といったタイムリーな出来事に加え、今までたびたびストライキを行ってきた各社会セクター(農民、鉱山労働者、教員、保健分野労働者など)が加わる形で今までになく深刻なものとなっており、現在のところ解決の見通しはまったく見えてこない状況です。今週中頃にはカルロス・メサ大統領の辞任説や軍事クーデターを思わせる動きがありましたが、最初から僕自身は気にはかけませんでした。国際援助(多国間および2国間)によってかろうじて生き永らえているかのようなこの国は、軍事政権になってしまうとそれらが一気にひきあげられ直ちに破産国家になってしまうからです。最近の軍人テクノクラートはそれほど馬鹿でもないので、かつて80年代初頭までは「新米であれば軍政も歓迎する」といったスタンスをとっていたアメリカ合州国をあてにすることはできないことをよく知っているはずです。

またいつものことながら、路上で危険を承知で争っているのは褐色の肌をした低所得層の人達(多くは先住民出自)。警察軍の表情も普段は「お前らも同じ貧しい階級の出身なんだから言ってることは分からんでもないが、こっちも仕事だから仕方ないな」というのが本音のような(実際様々な軍人からそう聞いたので本当だと思う)雰囲気が感じられますが、衝突がエスカレートするにつれて双方の表情も真剣になってくるのがなんとも悲しいです。あらゆる「戦争」の特徴である「感覚のマヒ」というものを感じざるをえないからです。早く前向きな形で収斂に向かってほしい、でも自分などに出来ることは今のところ何もない・・・、そういうジレンマに陥っている毎日です。