6月11日 (土)  ボリビア情勢の沈静化(?)

数週間にわたって続いたボリビア国内の社会混乱は、今月9日(木)深夜に憲法上の首都スクレ行われた臨時国会でカルロス・メサ大統領の辞任が正式に受理され、同時にやはり各社会運動セクターからの批判が強かったバカ・ディエス上院議長、コシオ下院議長らが辞任を表明、暫定大統領にエドゥアルド・ロドリゲス最高裁長官が就任することによって、一時的に収まったかのようです。とは言っても根本的な社会問題になんら解決の見通しはなく、今後の政局の行方も不透明な状態です。ちょうど僕も9日発のヴァリグ・ブラジル航空便で日本に帰る所だったのですが、同便が欠航したことにより帰国が来週に延びてしまいました。その代償(?)かどうか分かりませんが、大統領就任式などをリアルタイムで見ることが出来ました。

ロドリゲス新大統領は政党色はないものの、コチャバンバ出身の、見たところ典型的な白人系エリートで同市サン・シモン大学法学部卒業後、米ハーバード大学で行政学のマスターを取得、以後一貫して法曹畑で活躍してきた人。ただ、緊張気味の就任演説の中で、「現況も含め数々の社会的困難を経験しつつもボリビアは20年以上にもわたって安定したデモクラシーを享受している」と発言したのには僕も戸惑ってしまいました。ついこの間の5月25日のスクレ記念日にメサ大統領(当時)が同様の発言をし、国の現実に対し目をつむっている、との批判が集中したところだったからです。まあ近々行われる予定の総選挙までの「つなぎ」であるに過ぎないので、一応穏健派に落ち着いて無難な選択だったとは思います。

それはそうと、今日あたりからは街中にもタクシー、バスなどがようやく動き始め、商店街やレストランもシャッターを開け、人々も普通に街中を行き来しているのを見ると、「平和」であることが(それが一時的であれ)いかに貴重なことかを実感します。またここ数日、最もデモによる衝突の激しいダウンタウンの安宿に滞在している日本人バックパッカーの集団に当地の日本大使館員が数度にわたって安全な地域(南部の閑静な住宅街など)か国外への避難を直接説得しに行ったのにかかわらず、依然として危険地域から移動しようとしない日本人旅行者らがいるのには閉口してしまいました。昨年あたりから日本国内でも「自己責任論」がはびこっていますが、近くでこのような下らない状況を見ていると、日本人の「平和ボケ」もはなはだしいものだと憤りを感じざるをえません。