7月11日 (月)  木下尊惇ギター4重奏を聴いて

今夜は常に日本のフォルクローレ界をリードするギタリスト・木下さんのライブに行って来ました。今回の企画は同氏のギターに加え、小林智詠、笹久保伸、犬伏青畝という新しい世代のギタリスト各氏とのセッションという実に興味深い構成でした。4重奏のほかにも各自のソロや木下氏と笹久保氏のドゥオなどバラエティ豊かで飽きさせないプログラムでした。しかも面白かったのは、木下氏が述べておられた通り各自の個性、演奏スタイルは全く異なるものでありながら、同時に、結果としてフォルクローレ・ギターのスタイルの豊かさを改めて認識させられる貴重な機会ともなったことです。4艇のギターが鳴り響くさまは実に迫力満点!、しかもボリビア音楽の分野では世界的にもめずらしい画期的なものでした。

今回は木下さん自身初の試みだったそうで、おそらく試行錯誤を重ねておられるのだと思いますが、全体にセンスの良いアレンジと各自に順番に主旋律などを持っていくあたりはさすがと思わせるものがありました。ただ、舞台の位置関係上(木下氏が前面に、そして他の3人は後方にいる形)、共演者3人の音や弾きざまがよく感じ取れなかったことが若干気になりました。また通常は管楽器と打楽器のみで奏でられるアウトクトナ(ボリビア先住民系の田舎の音楽)のギター4重奏という聴き応えのあるナンバーもありましたが、特に若手3人には譜面を越えたもっと自然な演奏が求められると思います。ともあれ、新しい世代の奏者との共演を絶えず試み、自身の音楽世界をますます深めて行こうとする木下さんの意欲あふれるステージには圧倒されっぱなしの2時間、近年の日本のフォルクローレ界ではまれに見る充実したライブでした。