9月11日 (日)  ラパスでのCD「チャランゴ巡礼」発表記念コンサート(2)

さて、第2夜である9月10日(土)の様子をお伝えしましょう。この日は土曜ということもあって定時になっても客足はイマイチと感じたのもつかの間、20時前にはやはり前夜同様満員となり、これで2夜合計で約400人の方々に聴きに来ていただいたことになります。やはりTVでの宣伝効果は抜群で、自分の演奏を初めて聴くお客さんもたくさん来られていました。TV局カナル21のカメラは前夜のコンサートをすべて収録し、僕自身が知る限り、11日(日)には朝晩2回にわたってコンサートの全てが全国ネットで放映されました。

2夜目はこの日のためにかけつけて下さったチャランゴの巨匠エルネスト・カブール氏がお祝いの言葉をステージで述べて下さり、個人的には最初からすっかり高潮した気分でコンサートが開始されました。また途中、僕の録音制作スタジオ(PROAUDIO)社長のオスカル・ガルシア氏(ウカマウ映画など多くの映画音楽を作っているボリビア現代音楽界の大御所)もステージで祝辞を述べてくれました。

演奏の方は個人的には前夜より更に落ち着いた雰囲気で演奏できたように思います。この日ボンボで見事なチャカレーラをレコーディングしてくれたルイス・ギリェン氏は、7年前にルス・デル・アンデで来日公演した際に僕と東京の屋台で朝9時まで呑んだことをステージでも語ってくれ、お客さんも大爆笑!ちなみにルイス氏が使用する予定の楽器がこの日までに調達出来ず、なんとコンサート2時間前に街の楽器屋さんに行って無料で貸してもらいました。こういう危機に迫った時、ボリビアの人達は本当に親切にしてくれます。

またピアノのダニーロ・ロハス氏(20世紀ボリビア音楽最高の作曲家のひとりヒルベルト・ロハス氏の息子)は、同じ日に開催されていたジャズ・フェスティバルでの演奏が終わってからタクシーでぎりぎりにかけつけてくれ、CDにはない「ニーニャ・カンバ」をジャズ風に、またCDに収録されている「忘れがたきラパス」を、いずれもチャランゴとのかけあいで見事なノリで演奏してくれました。サンポーニャのアレハンドロ・アラルコン氏は若いけれど実力はボリビアでもトップクラスで、ルミリャフタやハチャ・マリュクなどこれまでに在籍した1流グループでの経験を活かした余裕ある演奏でアンサンブルに華を添えてくれました。カレーが大好物な彼は数年前の来日公演の際「CoCo壱番」で20倍カレーを平らげ無料になったという特異な「経歴」をステージで話してくれました。

この日のアンコールは、楽屋で直前にみんなで決めた「エル・エンクエントロ(出会い)」。実は日本でもよく演奏されるこの曲の共作者は日系人のホルヘ小森さん。会場が作曲者ともゆかりの深い日本人会館ということもありこれ以上の選曲はありませんでした。ロランドのケーナとアレハンドロのサンポーニャが絶妙にからみあい、またチェロのウィリーのいぶし銀のような音色がそれを支える・・・、もう言葉では表せないほどの夢のようなセッションでした。

17ヵ月に及んだCD制作、2週間にわたるコンサート準備期間、そしてこの2日間のコンサートの疲れで終演後の記憶はあまり定かではないのですが、とにかく「完全燃焼」であったことは間違いないようです。今回は日本でもライブなどが早々に入っているのでこの日の演奏が終わったら2日後にボリビアを発たねばなりませんでしたが、次回来た際にはぜひボリビア各地でも同じ編成で演奏したい、つまり新たな「チャランゴ巡礼」を繰り広げたいという「野望」が早くも湧いてきています。でもまずはこのCD作品がボリビアで、そしてこれから日本でどのように受け止められるのか、いまはどきどきしている段階なのです。
(「フォトギャラリー」コーナーにも写真あります。)

↓ロランド・エンシーナス(ケーナ、右)と。↓会場の雰囲気。

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