10月28日 (土)  カブールさん船橋公演

来日中のエルネスト・カブールさんの船橋公演に出かけました(船橋市立きららホール)。すでにこの2週間の間に北海道、中国地方などを周ったこともあってやや高齢(66歳)のマエストロには体力的にもきついのか、いくつかの曲ではかなり腕や指先に疲れが見られました。でもそんなことは一切関係なく、その生演奏を日本で見れただけで至福の一時!お弟子さんの木下尊惇さん(ギター)との息もさすがで、ユーモアも含めて楽しいステージでした。

カブールさんといえば、若き日から最近に至るまでチャランゴの「超絶技巧」の創始者として知られ、ファンもそれを一目見にコンサートに足を運んだものですが、今のスタイルはそれほどテクニックを前面に出すことはないものの、圧倒的な存在感、そして以前にも増して円熟味のある暖かな音色、それだけで泣けてきます。ひとつの歴史を創った人・・・、カブールさんを知る機会に恵まれた自分としては、氏はよく形容されるような「チャランゴの神様」などではなく、むしろ深い人間性・人間味というものを無意識に音楽の中に脈打たせることのできる正真正銘のマエストロだと感じています。(本コーナー、9月7日「2人のマエストロ」もご覧下さい。)

20061028-1.jpg 20061028-2.jpg