11月13日 (月)  第2回チャランゴの集い(11/12開催、その2)

プログラムの4番目に登場して下さったのがスペシャルゲストのエルネスト・カブール氏(チャランゴ)と木下尊惇氏(ギター)。カブールさんといえば「チャランゴの神様」とか「巨匠中の巨匠」というキーワードが真っ先に頭に浮かぶと思いますが(→それは100%事実なのですが)、私が知っているカブールさんはそういう派手な文句があまり似合わない、ごく親しみやすい素朴な哲学者といった感じの方です。

センテーリャス氏にたいするチャリティーコンサートはボリビア本国でも何度も行われており、僕もカブールさんも幾度か参加しているのですが、今回の日本での「チャランゴの集い」の話を数ヶ月前にラパスでカブールさんにもちかけた際、マエストロは喜んでふたつ返事で快諾して下さいました。その後、現在日本を一緒にツアー中の愛弟子・木下さんのご協力とご理解のおかげで当日のゲスト出演が実現したわけです。そういう意味でも今回の「集い」は「歴史的」なイベントとなりました。

さて、チャランゴをかかえて舞台に登場したカブールさん、いつもながらの気さくな雰囲気で聴衆に語りかけます(通訳は木下さん)。中でも「1973年にセンテーリャスさんらとともに発足させたSBC(ボリビア・チャランゴ協会)はその後時代は下って97年に「国際チャランゴ・フェスティバル"Encuentro Internacional del Charango"」の開催を実現させ、今日まで継続させている。この日本でのチャランゴイベントや、またオランダやメキシコなど世界中でチャランギスタたちが結集しているのを見ると私たちSBCの活動は無駄ではなかったと思います」の一言が、ボリビアのみならず世界のチャランゴ界の父として慕われるマエストロの存在そのものをあらわすものとして深く胸にしみ込みました。また「SBC日本代表であるダイジ・フクダがちゃんと日本でもその仕事をしていることが分かりました」と言って聴衆の笑いを誘ったのも、自分としては感無量でした。

演奏のほうは語るのも野暮。どういう言葉で表しても表しきれないからです。少し高齢だから、ハードなツアースケジュールで疲労気味だから、などと「冷静に」指摘するのも考えてみれば愚の骨頂。ただただ、ひとつの歴史を築いた偉大な存在である同氏の指先、そして魂から発せられるあたたかみのある音色と奏楽に心から感動せざるをえない、そんなひと時をあたえてくれたのです!(その3へつづく)

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