2月20日 (月)  金婚式のはなし

先週末に、歌手ダビー・ポルティーリョさんのご両親の結婚50周年記念式(いわゆる金婚式)に招待されて行ってきました。ラパスでも高級住宅街にある教会での式でダビーさんと2人で3曲ほど演奏した後は、場所を親族の家に移し50人くらいの親類一族での大パーティー。そりゃ結婚50年なんて気の遠くなるような偉業なので(特に離婚率が高いラテンの国では)ご本人たちはもちろん、集まった人たちの感動も大変なものでした。

で、乾杯の次にご両親のスピーチがあったのですが、それが実に忘れられないものでした。と言うのも僕自身これまで中南米各国を回ってきてそこで必ず友人知人夫婦に聞いたのは「結婚生活を長く続ける秘訣」。結婚43年になるアルゼンチンの某大師匠の奥さんは、ただ一言「パシエンシア(忍耐)」。うーん、耐え抜くことか。そういう答えはキューバでもペルーでも同じでした。ただ、最近ボリビアで離婚した知人から聞いたのは「パシエンシア」じゃもう手遅れなので、「トレランシア(寛容)」こそが重要、ということ。なるほど、確かにパシエンシアよりは聞こえも中身もいいな、と思ったものです。

ところが、です。ダビーさんのお父上は笑顔で「みんな秘訣を知りたがっているけれど、それはただ一つ(一同沈黙)、レスペット・ムトゥオ(互いにたいする尊重)だよ。僕たち人間はみんな、別々の個性を持って生まれてきた、それは夫婦だってもちろん同じです。私たちも今日50周年を迎えることができたものの、今までの道のりすべてがバラ色だったとは思わないで下さい(一同、笑)」。

本当に感動的な、そして心が洗われた一日であり、世界一のカップルに出会ったような幸せな気持ちにもなりました。

(ボリビア・ラパスにて。)