9月21日 (木)  ホンモノの音楽とは

つい先ほどの出来事です(現在ボリビアは午後3時半)。ラパス市内でタクシーに乗ったらスキンヘッドの初老の運転手さんがラジオのボリビア音楽にあわせて異常に明るいくらい上機嫌に鼻歌で歌っていたのです。その曲がスクレ・ポトシ地方のバイレシートだったので(←けっこうマニアック)つい話しかけたら案の定ポトシ出身だそう。そしておじさんは5分間足らずながら車内でとうとうと語り続けました。いわく、「ただ楽器をかき鳴らすだけの音楽家は世間に山ほどいる、でも本当にその音楽に生命を与えることのできる("hacer vivir la musica")音楽家は滅多にいない。ギタレーロ(ギター弾き)とギタリスト、チャランゲーロ(チャランゴ弾き)とチャランギストの違いはそういうもんだよ、おんなじ曲を弾いても全然違うんだよ、若造よ」。

まったく同感だったので、実は日本生まれの自分もボリビア音楽をやっており、またちょうど今夜9時にCANAL7(国営テレビ)に生出演するところだったのでぜひ見て下さい、とちょっと宣伝したら「じゃあ9時からずっとテレビつけて見守ってるよ」。うーん、緊張するなー。

タクシーを降りる際、最後におじさんは言いました。「俺は深夜で人ごみだらけのダンスパーティーでどんなに酔っ払っていても、耳だけはホンモノのいい音楽だけを求めているんだ。俺の名前はファン、またどこかで会おうや」。

(ボリビア・ラパスにて)