9月7日 (木)  2人のマエストロ

先週末から3日間ほどスクレに行って来ました。難病のため数年間自宅で療養中のチャランゴの巨匠ウィリアム・センテーリャス氏の見舞いも兼ねての訪問でした。病気の話なのでここで詳細を述べることは控えますが、マエストロの全盛期をよく知っているだけに、無理とは分かりきっていてもまたあのステージを見たいという気持ちに変わりはありません。いや、そうでなくてもせめて元気になってほしいと・・・。実は東京でも、この11月12日(土)にセンテーリャス氏チャリティーを趣旨とした「第2回チャランゴの集い」をみなさんの協力を得つつ開催予定です。

その「チャランゴの集い」に今秋の来日公演の合間をぬって特別出演を快諾して下さったのがもう一人のマエストロ、エルネスト・カブール氏です。そのカブールさん、昨日ラパス市内を歩いていてばったり出会い、いきなり「久しぶり!、家に来てチャランゴ見て行かないかい?」。有難いお申し出にのこのこついて行ったのですが、実際にはチャランゴを「見る」どころかマエストロはいきなり家にあったチャランゴで懐かしの自作の名曲の数々を弾き始め、もう1台ころがってたチャランゴを僕に渡して「ほら一緒に弾きなさい」というような目配せ。それは結局2時間も続き、これまでの氏のレパートリーで疑問だった細かい箇所なども本当に丁寧に教えてもらえたどころか、また復習が必要だから近いうちに来なさい、とまで・・・。

自分がチャランゴを始めてはや4半世紀、これまでに影響を受けたマエストロはたくさんいますが、その楽器の歴史に残るような巨匠にお会いするたびに、チャランゴ音楽そのものはもちろんなのですが、それよりも人間性というものに深く感動させられます。頂点を極めた人たちなのにちっとも尊大な態度を示さない、こういうアーティストたちの存在こそがラテンアメリカという懐豊かな大陸がかかえる大きな宝物ではないかと、その度に痛感するのです。

(ボリビア・ラパスにて。)

(左)カブール氏(9月6日) (右)センテーリャス氏(9月3日)

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