6月8日 (日)  変わる対ラテンアメリカ外交!?

昨日今日の土日(7、8日)と、母校筑波大で
日本ラテンアメリカ学会大会があったので、
久々にでかけてみた。

旧友の研究者仲間、先輩、恩師などとの
再会でとっても楽しい一時を過ごせたのが
何よりであったが、
日本の各大学のラテンアメリカ研究者による
たくさんのプログラムの中で、
ひときわショックというか印象的だったのが、
二日目の日曜午後にあった、
外務省中南米局長・三輪宏氏による記念講演だった。

「中南米局長」といえば、
いわば日本政府の対中南米外交を牛耳る最高責任者。
中南米政策に関しては、
単なる政治的任命による外務大臣や次官よりも
当然直接かかわっているだけに、
「ど偉い」ポストだ。

とは言っても僕としては「官製の」講演の内容そのものに
ついてはほとんど期待していなかったのだが(苦笑)、
つまりは、ありきたりの話しか聞けないと思っていたのだが、
しかーし、そこである事件がおきた。

講演後に会場からでた、
「(ベネズエラ、ボリビア、エクアドルなどの)
左翼政権にたいする日本政府の対応如何」という、
いささか外交的にはアメリカ一辺倒といわれる
日本政府としては答えづらい質問にたいし、
同局長は(簡潔に言えば)次のように答えたのだ。

「たとえば急進左派といわれるボリビアの(エボ)・モラレス
大統領とは今までに4回会談しているが、
"実にまっとうな考え方の持ち主である"という印象をもった。
今の中南米全体で積極的に社会改革
(社会的公正・正義の実現)を目指す左派政権の
誕生が相次いでいるのは、
いわば民衆を基盤とした政府が樹立されているということである。
しかも左派とか極左とかいうレッテルは自分(局長自身)に
とってたいした重要性はなく、
継続性のある社会改革にたいしては積極的に
支援して行きたい」!!??

ほんとにびっくりだった!!
ブッシュが聞いたらさぞかし困惑(または激怒)モノの発言だろう。
また、友人の外務省職員は、
直後に「講演に失望した」と語ってくれた。
もちろん僕はまったく逆の意見だったんだけど・・・。

米国一辺倒で自主外交がないといわれる日本政府でも、
たまにはすんごいことを大きな学会で言ってくれる
局長さんがいるんだと、思い知った。

それが彼個人の意見なのか、
日本政府としての公式見解なのかは未だあやしいので
けっして楽観視はできぬものの、
今後の「変わり行く」同省の出方を見て行きたく思っている。