8月10日 (月)  怒涛の北海道ツアー!(その2)

(前回より続く)
最終夜の8月9日は美唄(ビバイ)市の「アルテピアッツァ」。これがまたとない素晴らしい施設でした。かつて炭鉱で栄えた美唄の鉱山が閉山に追い込まれ、閉校になってしまった小学校の敷地を、市民が集う自然公園&コンサートスペースに改造したというのですが、美しい緑に囲まれたレトロな建物と点在する現代彫刻作品の数々・・・、これほどまでに音楽家にとって理想的な会場もないのではと思わせるくらいのスポットでした。宮沢和史さんや中西圭三さんなんかもこの会場をこよなく愛しコンサートもしていかれるそうで、中でも中西氏はアルテピアッツァのために一曲を書いて贈呈したそうです。

さてさて・・・、美唄行きの車中で「超メジャーアーティストのドーム公演ってよく専用トレーラーが会場に停まっててかっこいいねえ」というバカ話をしていたのですが、アルテピアッツァに着いて最初に目にしたのは謎のトレーラー。てっきりJ-POPの公演が同じ敷地であるのかと思いきや、なーんと僕らのために手配してくれた音響屋さんのものだったのです!そしてその晩の音響は期待通りの素晴らしいものでした。ホンモノのプロの仕事でした。さらにびっくりしたのは、その音響担当の方が今回の北海道ツアーコーディネータで友人のMさんの旧知の方らしく、「チャランゴという楽器を知りたい」という理由でなんとボランティアで引き受けて下さったというのです。いろんな方々に支えられたツアーだということをその時も強く感じました。

その晩のスペシャルゲストはサンポーニャ&ケーナの岡田浩安さん。札幌と東京が主拠点だけに道内ではすっかりおなじみ、さらに同氏を加えたトリオでは近年都内でももっとも多く共演しているだけに、開演前からリラックスできました。ただしそれは客席があっという間に130人もの方々でびっしり埋まってしまったのを見るまでの間でしたが・・・。

緊張と喜びと、そして毎晩の打ち上げの産物でもある心地よい疲労感(笑)で幕を開けた美唄公演、大きな木造りの会場全体に2時間にわたって響いたのは他でもない、この街・美唄で製作されたチャランゴでした。実は3年前に美唄で演奏した際、地元でチャランゴを趣味で作っておられるという方にお会いし、そして昨年3月には自作の特製チャランゴを贈って下さったのです。なのでこの美唄公演はそのチャランゴで全曲弾こうと決めていました。その方は、戸嶋博さん。70近い方ですが数年前に退職されてからチャランゴ製作に心を奪われたらしく、今までに数本の楽器を製作されています。コンサート会場でも、その展示会が行われましたが、一本一本心を込めて彫られた木製チャランゴの美しさにお客さんからも感心の溜息がもれていました。

コンサートのMC中、何度も「美唄産のチャランゴ」を使っていることを強調し、当日来られていた美唄市長ご夫妻を意識して「ボリビアのどこかと美唄を姉妹都市にしませんか?」と問いかけたところ、客席のあちこちからは「賛成〜!」。そしてアンコール後に戸嶋さんの奥様から花束を贈呈いただいたときには言葉もでませんでした。感動のフィナーレでした・・・。

ということで、素晴らしい出会いと再会、今回の北海道もそうした幸せでいっぱいの日々となりましたが、決して経済的には一興行として成り立ちにくい(なりえない?)チャランゴコンサートを支えて下さっているのは、第一にボランティアで企画制作して下さっている各地の方々、そして見知らぬ楽器を聴こうと会場に足を運んで下さるお客さん、また中には毎晩「通し」で聴いて下さった道内在住のボリビア音楽演奏者のみなさんなど、本当にたくさんの方々なのだということをいつも実感します。加えて、今回の旅の道づれでもありギターで大活躍、北海道でもますますファン層が厚くなった共演の智詠さん、ゲストの小川紀美代さんと岡田浩安さん、こうした素晴らしい仲間に恵まれていることにも感謝します。

(↓アルテピアッツァのブロブ8月11日分にも紹介いただいています。)

http://npoarte.blog.ocn.ne.jp/