9月24日 (金)  南米コンサートツアー報告記(最終回;アルゼンチン・ブエノスアイレス)

いよいよこの2010年コンサートツアー記も最後となりました!

アルゼンチン・パタゴニア地方での2回の演奏も無事終えた
僕と小川紀美代さん(バンドネオン)、
そしてグスターボ・ジョーンズ君(ピアノ、歌、ギター)の
最後の公演地は、首都ブエノスアイレス!ブエノスといえばタンゴ!、
ですね。

アルゼンチンでのプログラムはタンゴの曲が
半分くらいを占めていました。
リスナーとしては子供のころから聞いていたものの、
演奏者としてはとにかくタンゴ経験に乏しい自分にとって、
ある種の度胸試しのようなものでした。
まあ、結局はタンゴのスペシャリストである小川さんの
「音楽力」のおかげでどこの会場でも好評いただけたのですが。

9月18日(土)に開催されたブエノスのコンサートの会場は、
なんと日本庭園(Jardin Japones)!
これはブエノス市内のパレルモという洗練された地区に
1967年に建設された、
池から蟷螂や石庭まで本当に日本の伝統的庭園をそのまま
再現したような公園。

現在は日亜文化財団が維持管理していますが、
必ずしも在住日本人のためにあるものだけではなく、
日頃からブエノスアイレス市民の憩いの場となっています。

そこにある常設ホールでは常日頃から音楽コンサートはじめ、
各種講演会や料理教室などいろいろなイベントが開催されているようで、
僕らトリオのコンサートのこともちゃんと告知していただいており、
当日は200人くらいの客席もあっという間に満員となりました。

演奏する僕らは、
ツアー最後の舞台という気負いはほとんどなかったものの、
今回のツアー全体の思い出などが走馬灯のように駆け巡り、
なんともあたたかい気分にさせられました。

以前にもブエノスに滞在経験がある小川さんの友人の
方々などもたくさん見えて、再会を楽しみました。

中でもこのコンサートを仕切ってくださった、
小川さんのお知り合いである谷口庄平さんとの出会いは、
とてもインパクトがありました。
この谷口さん、もう70近い方なのにどう見ても50歳代にみえる若々しい、
現地で貿易会社をやってられる方。

それがコンサート後の打ち上げで判明したのですが、
なんと1960年代に京都外国語大イスパニア語学科を出た後に
大学時代に結成したラテントリオでアルゼンチンに渡り、
コスキン音楽祭など国内中のフェスティバルなどで大活躍した、
いわば「アルゼンチン・フォルクローレ」の日本人奏者としては
草分け的存在だったのです!

当時の現地新聞を見せてもらうと「Cantores del Sol Naciente
(日出ずる国の歌い手たち)」というグループ名で
大きく載っているではありませんか!

さらに現在のパートナーは、
往年の女性タンゴ歌手ロサウラ・シルベストレさん!
昔、タンゴの巨匠ホセ・バッソの来日公演などにも
専属歌手として同行したアーティストです。
谷口さんとおふたりでCDも出しておられる、
なるほど、太く長〜い素敵な音楽人生なんですね。

ブエノスアイレスではコンサート後に帰国便まで
4日間フリーの日を設けていたので、
その他にも自分の旧友などにも挨拶回りしたりで、
帰国まではあっという間でした。

恩師のチャランゴの巨匠ハイメ・トーレスさんとは
氏がフランス公演中のためニアミスとなりましたが、
師からは「会えなくて残念だけど、君がこのブエノスでも
すべてうまく行くように祈っています」とのメッセージを
メールでいただき、幸せな思いでした。

・・・谷口さん&ロサウラさんらに見送られて小川さんと
9月22日(水)にブエノスの国際空港を発った際には、
この1か月の旅をまるで宝箱にぎゅっとつめて日本に向かうような、
そんな充実した思いになりました!

ボリビアの時にも書きましたが、
今回も本当に素晴らしすぎる共演の方々に恵まれ、
さらに各地でもたくさんの再会と出会いがありました。

このツアー日記を終えるにあたって、
出会ったすべての方々に、
それから日本で留守番をしてくれた家族に、
また、直接間接に応援下さった方々にも
厚く(熱く)御礼申し上げます。
そして、これからも一層精進して行くことを誓いたいと思います。

ありがとうございました!

※なお、今回のボリビア&アルゼンチンツアーのすべては小川さんも
ブログに詳細に、かつ親しみやすい名文で書かれています。
ぜひご覧ください!
http://diario.at.webry.info/201009/index.html