月日のうつろひ 2008. 9
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9月12日 (金)  ハイメ・フナロの新譜がでました!

3週間にわたった南米(ボリビア&ペルー)出張から
帰ってきました。
旅の主目的は、勤務している恵泉女学園大学(多摩市)の
スペイン語海外研修の引率ですが、
合間をぬって現地の何人もの仲間に会えました。

なかでも、6月に発表された歴史的歌手ハイメ・フナロの
新譜「Liberando utopías(理想郷を解き放ちつつ)」を
ラパスでご本人から受け取ることができたのが
一番嬉しい出来事でした!

同アルバムは、
ボリビア・ヌエバカンシオン(社会派音楽)の御大であるハイメ氏が
数年前からアイデアをあたためていたもので、
編曲を彼の弟でやはり大御所のセサル・フナロ、
ギタリストのファン・カルロス・コルデロ、
そして僕の3人が依頼され、
3年がかりで完成・発売にこぎつけたものです。

感涙・・・。

6月にハイメ・フナロの生地オルーロで開催された
記念コンサートには6千人の聴衆が集まったそうですが、
ラパスふくむボリビアの他都市では
開催未定のようです。

内容的には、
ここ数年ずっとパリとラパスの往復生活を
続けていたハイメ氏の生活環境のせいか、
またはボリビアあるいはラ米のヌエバカンシオンの
「軍政終焉以降の趨勢」を反映してか、
いわゆる政治社会色は以前ほどは濃くなく、
むしろ人類愛であるとか、
故郷にたいする郷愁などが主要なテーマと
なっています。
そのような中にも「公正で人間的な社会」を
目指そうとするハイメ氏の理想がちらほら感じられる、
熱い内面性をもったアルバムとなっています。

楽器はボリビアの楽器ももちろん入っていますが、
その他ベース、ドラムスはもちろん、
ピアノ、クラリネット、チェロ、バイオリン
オーボエなどクラシックの楽器も
ふんだんに取り入れた編成。
演奏陣もいつもながらボリビアの各ジャンル
(ボリビア音楽、クラシック、ジャズ、ロックなど)の
一流どころで固められています(写真中)。

これまでのハイメ・フナロのサビア・ヌエバ以降の
ソロ歌手としてのアルバムは、
ボリビア音楽色を前面にだしたもの(註1)や
一転してジャズ調のもの(註2)がありましたが、
この「理想郷」はそのどちらでもなく、
クラシック音楽とコスモポリタンな現代音楽の
要素が交錯する「面白い」ものになっています。
その評価は聞いてくれる人にゆだねるしか
ありませんが・・・。

(註1)
92年エクアドル録音の「En la mitad del mundo」、
96年頃発表・ケーナ奏者ロランド・エンシーナス編曲
による「Las lunas」。

(註2)
02年発表・ジャズ管楽器奏者アルバロ・
モンテネグロ編曲による「Más allá del sol」。

・・・とりあえずは間もなく日本の
通販などでも紹介されますので、
ぜひぜひ聴いてみてください。

また、この「理想郷」はなんと2枚組シリーズで
近々2枚目が発売されます(もちろんすでに
レコーディング済み)。
御大の創作エネルギーには、まったく脱帽!!


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