月日のうつろひ 2005. 4
メニューに戻る
4月29日 (金)  カンクンにやって来て

今日からメキシコ最大のカリブ海リゾート、カンクンに来ています。数日後にキューバを訪れるので(カンクンからは空路1時間)そのついでにいるのですが、自分にとって12年ぶりのカンクンはそれほど変わった様子もなく、しいて言えば物価(特にホテル代)が1.5倍くらい高くなったことでしょうか。でも海の青さ、まるで蛍光塗料をたらしたような直視するのが難しいくらいの眩しさを持つカリビアンブルーはちっとも変わっていないし、それは本当に感動ものです。ユカタン半島のちょうど右上端にあるカンクンは、5つ星ホテルが立ち並ぶカリブ海に面した豪華なホテルゾーンと、海から数キロ内陸にあるダウンタウンに分かれていますが、けっこうエコノミーな旅を続けている僕はもちろん1700円程度で泊まれるダウンタウンを拠点として昼間にカリブ海やマヤの遺跡見物などに出かけています。このダウンタウンにいると、14年前に留学した素顔のメキシコ(カンクンからは遠く離れたメキシコ・シティですが。)の雰囲気の一端が感じられて嬉しいです。グリンゴ(欧米人)観光客向けの豪華なレストランのすぐ近くには地元のメキシコ人しか行かないタコスの屋台が並んでおり、立ち食いでかぶりつくタコスのまた美味しいこと!なんかメキシコ・シティでの青春時代に帰ったような錯覚に陥りました。とは言いつつも、もちろん美味しいシーフードレストランも満喫しました。でも僕にとって「メキシコのふるさとの味」と言えば屋台のタコスなのです。もう一つ面白いのは、観光リゾートであるために道々ではレストランやツアーの客引きがどんどん英語で話しかけてきます。ここでスペイン語で答えると一様に相手のメキシコ人は一瞬「なーんだ。」といった表情をし急にトーンが下がるだけでなく、中にはすっかり親しくしてくれる人もいるのです。実際に先日申し込んだマヤ遺跡ツアーを「中南米人特別価格」に割り引いてくれました。そんなわけで久々の「海抜0m」の濃い空気を満喫しています・・・。

(↓ユカタン半島最大の遺跡チチェン・イツァ)

20050429-1.jpg



4月16日 (土)  2つの国のあいだで

先日、ボリビア在住30年以上になるという日本人の方と食事する機会がありました。彼女はだいぶ前にボリビア人のご主人に先立たれて以来、お子さんもいないのでひとりで仕事をしながら暮らしています。でもぱっとお会いした感じではそういう境遇を想像させない位とても明るく、はつらつとしているのです。ボリビアは中南米でも有数の日系人移住国(現在1万人前後)なので、こちらで暮らしていると大使館、JICAや旅行者など短・中期滞在者のほかにも、たくさんの日系の方々と知り合えます。みんな日本やボリビアにたいする感じ方、考え方が違うので話をするととても興味深いのですが、ボリビアやボリビア人にたいして不満を持っている人も数多く見受けられます。でも今日会った人は今もボリビアが大好きだそう。結婚当時は100%ボリビア人になりきろうと決心したらしいのですが、現在はやはり日本人としての意識の方が勝っているそうです。今までにもボリビア(人)社会やボリビアの狭い日本人社会で裏切られて悲しい思いをすることもあったと言いますが、今となっては周囲を気にせずにマイペースで生きる術を見につけたと、しみじみ語ってくれました。そしていつも思っているのは「ボリビア人と日本人の国民性の両方を理解できるので、2つのいいところを自分のものにして行きたい」ということ。在住8年に満たない僕自身はどちらかと言えばボリビア人に助けられてばかりで、というか圧倒的に良い思いばかりしてきたので日系の方々の特に過去の苦労などは本などを通じて知るのみなのですが、この彼女の言葉にはとても心を動かされました。2つの異なる文化のあいだで育まれる日系人独特のアイデンティティというものがこうして生まれるんだなあ、と実感した次第です。




4月9日 (土)  カブールさんとの再会

エルネスト・カブールさんと言えば、世界中のボリビア音楽ファンに敬愛されているチャランゴの巨匠中の巨匠で、僕も97年にラパスで開催された第1回国際チャランゴフェスティバルに招待されて以来ずっと、個人レッスンや呑み会など色々な場面で親しくさせてもらっています。そのカブールさんの自宅で昨日7ヶ月ぶりに再会して少しほっとしたところです。と言うのも、レギュラー出演しているペーニャ「マルカタンボ」にここ半年ずっと姿を現さなかったせいか、ボリビア音楽界全体にカブールさんの「重病説」がはびこっていたからなのです。まあ根拠のない噂ばかりが広がる狭いボリビア社会でそれを鵜呑みにするのは危険だと分かっていたので、今回もそれほど信じていなかったのですが、やはり元気なご本人に会って安心しました。氏によれば昨年少し高血圧気味でコチャバンバに休養に行っていた以外はいたって健康で、昨年末はドイツ公演、そして今年半ばにはブラジル公演なども控え、演奏活動の方も決して中断しているわけではないとのこと。マエストロは昨夜も自分で発明したダブルチャランゴ(調弦の異なる2つのチャランゴをくっつけたもの)を取り出して、嬉しそうにじゃらじゃらかき鳴らしていました。その顔はまるで新しいおもちゃを手にした子供のように純真なのです。ああこの人は本当にチャランゴのために生まれてきたんだ、とまで思いました。カブールさんから直接間接に学びうる事は今後も無限のように思いますが、これからもますます元気で活躍して行ってほしいものです。


4月4日 (月)  オルーロ公演を終えて

ラパスに来てはや3週間になろうとしています。平日やっている新作CDの仕事もルーズな「ボリビア時間」からすれば(笑)、思ったより快調です。その他、先週の4月1日(金)にはダビー・ポルティージョ(歌手)さんとの前作「天地逆転」をテーマにオルーロ市立文化会館でコンサートをして来ました。2人のほか、サポートメンバーにカルロス・ポンセ(サンポーニャ)とファン・カルロス・コルデーロ(ギター)を迎えた最高にして最強のクアルテット!、またオルーロ市役所や各テレビ局などが後援してくれたおかげで会場は200人以上の満員、立ち見の方も見うけられるほどの盛り上がりとなりました。カピタル・デ・フォルクローレ(民俗文化のメッカ)とも称されるオルーロ市はラパスからバスで3時間のところにあり南米でも有数規模のカーニバルで有名な街なのですが、普段は思ったよりも文化行事が少ないと市民の人達は嘆いています。でも彼の地でのお客さんの熱っぽさには感動しました。本当に演奏者冥利につきるものでした。ひとつ印象的だったのは、コンサート途中の休憩時間に、チャランゴを習っているという10歳の女の子がお母さんと楽屋に訪ねてくれたので、その場で僕のギターと一緒に合奏したことです(下の写真)。学校の制服のままで来てくれた彼女のチャランゴは見事な腕前でした。確かに表向けの「文化行事」そのものはあまり盛んでないのかも知れませんが、沢山の若い才能が花開いていることを垣間見た嬉しい出来事でした。

20050404-1.jpg 20050404-2.jpg



2005/4
SuMoTuWeThFrSa
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930

前月     翌月